博多に「レベニュー・マネジメント」の仕事を見に行ってみた！【前編】

レベニュー。
みなさんはご存知なんでしょうか？僕は恥ずかしながら、知りませんでした。客室の値段を決める仕事。ホテル運営上欠かせない、大事な仕事のひとつ。

今回は、その実態に迫るべく、博多にあるレベニュー・センターに「行ってみた」！

（九州のレベニュー・センターがあるPREMIUM 博多・キャナルシティ前）
レベニュー“revenue”とは収入、収益という意味の英語。

調べたところ、ホテル業界では、季節や休日などに合わせて客室や宿泊プランの値段を決めること、らしい。確かに素人目に見ても、大型連休や夏休みなどは値段が高く、何もない平日は比較的安価。さらに、その値段は宿泊当日が近づくにつれて変動している。

その値段を決める仕事が「レベニュー・コントロール」あるいは「レベニュー・マネジメント」と呼ばれるもの「らしい」。そう、何せ僕調べ。あくまで「らしい」のである。「らしい」ついでに、もうひとつ。このレベニュー・コントロールは、売れ残った座席を売り切るために、航空業界から始まった「らしい」。ところが…

「ホテル業界にも古くからありましたよ。私がラスベガスのホテルに研修に行った10年以上前、すでに値段の変動制がありました。そのホテルは土曜日の予約がなかなか取れなくて、どうしても泊まりたいお客様は木曜チェックイン～火曜チェックアウトでご予約ください、と設定。値段も時期によって変動させ、在庫の推移を見てさらに変動させる、というやり方を取っていました」

（写真左から大原支配人、上田さん、長谷川さん）
そう話してくれたのはPREMIUM 博多・キャナルシティ前の予約支配人、九州のレベニューセンターの長、大原さん。

ドーミーインは全国を8ブロック（北海道、東北、関東、東海、北陸、関西、中四国、九州）に分け、それぞれの中心となる事業所内にDRC（ドーミーイン・レベニュー・センター）を設置。利益の最大化を計るべく、レベニュー・マネジメントを推進している。そのひとつが今回「行ってみた」、九州のレベニュー・センターだ。

（キャナルシティ名物の大噴水）
またここで僕の「素人目」が発動。繁忙期と閑散期で値段が変わるのはわかる。でも、売れ残ったら、安くして売り切ればいいんじゃないの？　その安さの中でどれだけ高い値を付けるかが勝負なんじゃないの？
そんな僕の考えは、一発で吹き飛ばされた。

長谷川さんはこう言う。「早くご予約いただいたお客様が、宿泊日近くなって値段が下がっているのを知ったら、嫌な気持ちになりますよね。逆に、値段が上がっていたら、次はもっと早く予約しようと思うようになります。そうすれば、お客様もうれしいし、売上の見通しが立ち、運営も安定する。それがレベニュー・マネジメントの妙。醍醐味です。もちろん、売れ残ってしまったら、何にもならないので、そこが難しいところ」

レベニュー・マネジメントの基本は「お客様のニーズや満足度に合った料金にすることと、ホテル運営上できるだけ高く販売することを、両立させること」と大原支配人は言う。言うは易く行うは難し、である。

「年間の料金を設定する際には、通常の休日だけでなく、イベント、学会、研究会など先々の需要とその参加者の特性を調べ上げます。例えば、医学業界は高額なホテルから先に埋まるとか、製造業はギリギリになってから予約する傾向があるとか。アメリカのＴＶ番組で九州を特集していたからホリデー時期にはアメリカ人のお客様が増えるかもとか、そんな情報も入れつつ」

上田さんはOTA（Online Travel Agent＝インターネット上の旅行会社）でのWEB販売の動向を常にチェックしている。

「例えば、プランの並べ方は素泊まりが上、朝食付きが下、その逆、どちらの反応が良いのか。OTAによって違いますし、時期や棟によっても違います。レベニューに反映させたいことはたくさんあります」

マーケット調査・分析の重要性を説く大原支配人だが、一方で「それは当たり前のこと」と言う。
「数字だけを追ってもダメなんです。お客様がその値段に満足するのか。その値段でお部屋や設備、接客、サービスなどのクオリティに満足するのか。それは周辺のホテルに比べてどうなのか。それが重要なんです」

なるほど。
ドーミーインのレベニュー・マネジメントに触れて、またひとつ、目からウロコが落ちた僕であった。
【後編】では、そのクオリティを高める試みのひとつを見に、イン博多祇園に「行ってみた」！
（取材・文＝庄子明夫）

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